予定価格と落札価格の乖離率分析:適正価格の見つけ方
「いくらで入札すれば落札できるのか」――入札価格の設定は、全ての入札参加企業にとって最大の悩みです。
高すぎれば落札できず、安すぎれば利益が出ない。あるいは最低制限価格を下回って失格になることもあります。適正な入札価格を見つけるには、過去の落札データを分析することが最も効果的です。
この記事では、予定価格と落札価格の関係を分析し、適正価格を見つけるための方法を解説します。
落札率とは
落札率とは、予定価格に対する落札価格の比率です。
落札率(%) = 落札価格 / 予定価格 x 100
例えば、予定価格1,000万円の案件を850万円で落札した場合、落札率は85%です。
落札率が高い(95%以上)と「高止まり」、低い(70%台)と「ダンピング気味」と見られることがあります。
業種別・発注機関別の平均落札率データ
落札率は業種や発注機関によって傾向が異なります。
建設工事
- 国土交通省直轄工事:平均90〜95%程度
- 都道府県工事:平均85〜93%程度
- 市区町村工事:平均80〜90%程度(ばらつきが大きい)
建設工事では最低制限価格が設定されていることが多く、70〜90%の範囲に集中します。
業務委託(コンサル・IT)
- 国の機関:平均85〜95%程度
- 自治体:平均80〜92%程度
業務委託では人件費の積算が主であり、落札率のばらつきは比較的小さくなります。
物品調達
- 平均70〜90%程度(品目による)
物品調達は市場価格が明確なため、落札率のばらつきが大きくなります。
注意
上記の数値は一般的な傾向であり、個別の案件では大きく異なることがあります。自社がターゲットとする分野・地域の実際のデータを確認することが重要です。
落札率が低すぎる・高すぎる場合のリスク
低すぎる場合のリスク
- 最低制限価格で失格 … 設定された下限を下回ると自動的に失格
- 低入札価格調査 … 一定以下の価格で入札すると、調査の対象になる
- 品質低下の懸念 … 発注者から「この価格で本当にできるのか」と疑われる
- 利益の圧迫 … 受注しても赤字になる可能性
高すぎる場合のリスク
- 落札できない … 他社より高ければ当然落札できない
- 機会損失 … 落札率が高い入札を繰り返すと、受注件数が減る
最低制限価格制度
多くの発注機関では、ダンピング防止のため最低制限価格を設けています。この価格を下回る入札は自動的に無効となります。
最低制限価格の目安:
- 建設工事:予定価格の75〜92%(算定式による)
- 業務委託:予定価格の70〜85%程度
適正価格を探るための調査方法
落札結果の分析
最も直接的な方法は、過去の落札結果を調べることです:
- 同じ発注機関の同種案件 … 過去数年分の落札率を確認
- 参加者数との関係 … 参加者が多い案件ほど落札率が低い傾向
- 時期による変動 … 年度末は繁忙期で落札率が高めになることがある
積算による裏付け
価格を決める際は、必ず自社での積算を行いましょう:
- 人件費(必要人員 x 単価 x 期間)
- 直接経費(材料費、外注費、交通費等)
- 一般管理費(間接費)
- 利益
この積算結果と、過去の落札率データを照合して、現実的な入札価格を決定します。
予定価格の推測
予定価格が事前公表されない場合でも、以下の方法で推測できます:
- 設計書の金額(公開されている場合)
- 予算書の記載金額
- 前年度の同種案件の落札価格
- 業界の標準的な単価表
過去の落札結果データの活用方法
データから読み取れること
- 落札率の分布(何%で落札されることが多いか)
- 常連落札者の傾向(同じ企業が繰り返し受注していないか)
- 参加者数と落札率の相関
- 不調・取消になった案件の特徴
価格設定への応用
- ターゲット案件の過去落札率の中央値を把握する
- 自社の積算価格と比較する
- 利益を確保できる最低ラインを設定する
- 競合状況を考慮して最終価格を決定する
継続的なデータ蓄積
入札結果は蓄積するほど精度が上がります。自社が参加した案件の結果(落札者、落札金額、参加者数)を記録し、分析に活用しましょう。
まとめ
入札価格の設定は「感覚」ではなく「データ」に基づいて行うべきです。過去の落札結果を分析し、業種・地域・発注機関ごとの落札率の傾向を把握することで、適正な価格設定が可能になります。
GovBaseでは全国の落札結果情報を収録しており、発注機関別・業種別に検索できます。過去の落札価格や参加者数のデータを活用して、データに基づいた入札価格の設定にお役立てください。